「私はいままでプログラミングをしてきてバグを起こしたことがありません。」
そんなことをIT企業の採用面接で言ってきたらどう思いますか。
プログラマの人ならわかると思いますが、そんな人絶対に採用しません。
社会に出てから、「ミスをしない人になるように頑張る」よりも
「ミスしたときにどうリカバリーできるか」のほうが大事だなと思います。
学生時代、遅刻をしたり、課題の提出が遅れたりしていた彼は
今頃何をしてるんだろうとふと思います。
本記事は以下について書いています。
〇本書の構成・特徴
〇こんな人におすすめ
〇印象に残ったこと
〇まとめ
本書の構成・特徴
浦和署の刑事、渡瀬と鳴海が不動産強盗殺人の捜査をするところから始まります。
やっと見つけた容疑者、楠木明大。
しかし決定的な証拠が見つからず取り調べは難航。
鬼神と恐れられた鳴海の乱暴な取り調べと、若い渡瀬の諭すような取り調べ
緊張と緩和で楠木をゆさぶっているさなか
神の一手ともいえる決定的な証拠が。
やっとのことで自供を引き出し、一件落着。
しかし、それが冤罪だとしたら?
渡瀬目線で進む物語です。
自分が逮捕した人間が無罪かもしれない、不安を抱えながら真実を追います。
そして渡瀬が下した決断は。。。
ちなみにどんでん返し系でもあります。
「お前だったんかい。」は中山七里先生の得意技かもしれません。
こんな人におすすめ
本書は以下のような人におすすめです。
〇世の中の理不尽さを描いた物語が好きな人
〇自分の正義を貫く主人公が好きな人
中山七里先生の小説には、世の中の理不尽さを題材にしたものがあります。
この作品は、冤罪を追求すること、公表することに主人公が悩みます。
真実を公表しても裁かれるべき人物は裁かれない。
悔しい思いをした人は報われない。
そんな現実に苦しむ主人公に読んでいた自分もつらい気持ちになりました。
主人公は過去の過ちを十字架として背負いながら刑事としての職務を全うします。
世の中の理不尽さを頭では分かっていながらも
自分の決断で誰がどのような状況に陥るのか理解しながらも
自分の正義を貫く姿に、主人公のまっすぐさが感じられます。
印象に残ったこと
正義なき力は暴力
思い悩んだ渡瀬は、法の女神テミス像を前に偉大な検事からこの言葉を授かります。
力、正義どちらもが存在しているときはじめて裁くことができる。
力を表す「剣」と正しさをはかる「天秤」テミス像はその両方を手にしています。
人を裁くことはもともと神が行うことだ、と言われます。
普通の人が誰かを裁くことなんてあまりないと思いがちです。
しかし、自分に子供がいたらどうでしょう。
小さな子供にとって親とは神同然。
悪いことをしたら「叱られる」という形で裁かれます。
親からしたら裁くなんて大層な気持ちは持ってないと思いますが
知らず知らずのうちに神として子供を裁いているのかもしれません。
「大人も間違っちゃうんだよ」ということを伝えることも大事ですが
それはそれで「冤罪だったね、ごめんね」で済ましているとも言えます。
子どもを正しい方向へ導くために叱ることができているのか
自分を顧みる言葉になりました。
まとめ
今回は『テミスの剣』を紹介しました。
「悪いことをしたときにはごめんなさいと言う」子供に教えますよね。
でも実際自分はできているでしょうか。
「ごめんなさい」で済む程度の事なら簡単に謝罪ができると思います。
しかし、とんでもないことをやらかしたときはどうですか。
公表したら多くの人に被害が及ぶ。他の人の地位が危ぶまれる。
そんな時でも罪を公表し罰を受けることができますか。
偉い人であればあるほど、
よくわからない理由でそんな事実なかったことにされます。
権力と戦いながら、正義とは何なのか苦悩する主人公に
貴方は何を感じるでしょう。
本書はkindle unlimitedで無料で読めます。(※2025/4/14時点)
ぜひ読んでみてください。