小数はなぜ難しく感じるのか【数学科が解説】

小学校算数

整数の問題は解けていたのに小数になった途端混乱してしまう
計算自体はできているようだけどなんかちゃんと理解してないような
お子さんにそんな兆候は見られませんか?
かといって「どう教えてあげたらいいか分からない」そう悩む保護者の方も多いです。

小数の単元は「全く分からなくてお手上げです」というものではないです。
計算自体はやり方さえ覚えれば解けるのである程度テストでも点数が取れます。

しかし小数の本質を正しく理解しないとその先で突然分からなくなります。
小数というものは
・数の大きさの捉え方
・「1より小さい」という概念
・数直線上を無限に並んでいるという感覚

といった、これまでの単元と異なる考え方を含んでいます。数学の世界を理解するために
無くてはならない考え方です。

ここを正しくつかむことは、比例反比例、関数などの領域を理解するのにとても重要です。
この記事では小数が難しく感じてしまう背景とそれを防ぐ家庭でのかかわり方を紹介します。


当ブログでは
・うちの子算数苦手かも、、と悩む保護者の方
・自分も算数が苦手だったから、、と悩む保護者の方

そんな方向けに数学科卒の私
「算数=苦手」を解消するために保護者ができること
を紹介しています。


本記事は以下について書いています。

整数の感覚が通用しなくなる瞬間

小数で戸惑いが生まれる最初のきっかけはそれまで当たり前に使ってきた
「整数の感覚」が通用しなくなるところにあります。

整数の世界はとても身近にあるので直感的にとらえることができます。
・桁が増えたら数も大きくなる
・数字が大きいほうが数としても大きい

そんな考え方ができます。

しかし小数の世界になるとそれが通用しなくなります。ここでお子さんは混乱してしまいます。
・0.2と0.15→桁が多いのに小さい
・3.2と3.15→数字が大きいのに数は小さい

直感的な理解と現実がうまくリンクしないところに「あれ?」となる子も多いです。

また「いままでそこになかったはずの数が急に現れる」というところも難しいです。
整数までは1の隣は2でした。しかし小数になると1の隣に1.1が現れます
厳密には1の隣には1.01もいて、1.001もいて、、、
実際は「今まで見ないようにしてきた数字を扱うようになった」ということです。

これまでのルールが崩れてしまうのが小数という単元です。
お子さんの中では「今までの判断基準が使えなくなった」と感じてしまうのです。
小数は整数の延長ではないので今までのルールが使えないのは当然です。

〇整数のルールが小数では使えない
〇今まで見てこなかったところに数字が表れる

小数は新しい数ではない

小数の単元に入った小学生の多くは「見慣れない種類の数を勉強している」と感じます。
確かに小数点というものが登場し計算の仕方や表記の仕方が今までと別物になります。
全く別の概念だと感じるのも無理はないです。

しかし数学的に考えると小数は整数と同じ世界にあります
整数では粗くしか見えなかった数の世界をより細かい解像度で
見るために登場した表記法
というだけです。

今まで最小の整数だった1を
・10等分したものは0.1
・100等分したものは0.01
と表現するために登場したものです。

ここが理解できていないと
・なぜ小数点をそろえて計算するのか?
・0.4と0.40は何が違うのか?
といったところで混乱してしまいます。

小数とは整数の延長線上にあり、数直線の目盛りが細かくなっただけ
まずはこのようにとらえられることが大事です。

小数は整数の延長線上にある
〇数直線の目盛りが細かくなっただけ

小数の計算は手順を覚えろ

小数という世界がどのようなものか理解したら、次は小数の計算です。
さて保護者の皆様は小数の計算を正しく行えるでしょうか。

\({0.2}×{0.03}\) は解けますか? \({0.05}÷{0.2}\) はどうでしょうか?
「えーと、、これでよかったよな」となりながら解いた保護者の方も多いのではないでしょうか。

では続けて\({0.05}÷{0.2}\) は何をしている計算ですか?こう聞かれてうまく答えられますか?
これもまた「えーと、、0.05を0.2個ずつに分けたら、、?」説明が良く分からなくなりませんか?

小数の計算は大人でも手順が曖昧な人が多いです。
さらに「何をやっているか」を説明するのが難しいものです。


小数という概念が日常を例にしにくいから手順が曖昧になったり説明が難しくなるのです。
・0.2個のリンゴを買いますか?
・0.2個のリンゴを0.3人で分けますか?
そんなことしませんよね。さらに \({0.2}÷{0.3}={0.06}\) という数をイメージできますか?
なかなかイメージがしにくいです。

学校の授業で小数の計算については数直線を用いるなどして
先生が頑張ってその意味や手順を説明してくれています。
ただ、毎回計算しながら具体的なイメージをすることは難しいです。

私としては、一度小数の世界がどのようなものか理解でき、計算が何を表すかが分かったら
小数の計算は手順を覚えて機械的に行うほうが良いと考えています。


どのように立式するかを考えることができたら機械的に計算し答えを出す。
その答えが問題の解答としてふさわしいか考えることができればよいと思います。

〇小数が何なのか、計算は何をしているのかはつかんでおく
〇そのうえで小数の計算手順は暗記する

家庭での伝え方

さて、小数の計算手順は暗記しろと言いました
では家庭では小数を教えなくてもよいでしょうか。これはまた違います。

小数が何を表すか、計算は何をしているかをお子さんがしっかり理解できるように
サポートしてあげてください。ここをつかんだら計算手順は暗記でOKです。

ポイントは小数を数直線上で捉えさせることです。ただし範囲は0から1です。
本当は0.1という数はとても小さく、0から10の間の \(\frac{1}{100}\)の数です。
しかし大人でもそんな捉え方を毎回しているわけではありません。
0から1の間を虫眼鏡で見るようにして0.1を1くらいの大きさで考えています。

お子さんもこの感覚を身に着けられるように寄り添いましょう。
0から10の数直線を作り1ずつの目盛りを書きます。0から1の部分を矢印で引っ張って
矢印の先に0から1の数直線を作り0.1ずつの目盛りを書きます。
・「矢印の先は0から1を虫眼鏡で拡大した感じだよ」
こう教えます。拡大したイメージがあると小数を見やすいです。

そのうえで数直線上に数を書いてみましょう。
・0.5はどこかな?
・0.2と0.3はどっちが大きい?
・0.25はどのあたりかな?

初めは正解でなくてもいいです。お子さんが拡大した0から1の中をつかむことが大事です。
0.25などになるとつまるかもしれません。ここはさらに拡大してみましょう。

数直線上に小数が存在していることをつかみ、目盛りのどのあたりにいるのかを
お子さんがイメージできてくるようによく観察して寄り添ってあげましょう。

〇小数を数直線上で捉える
〇小さくて見えないところは拡大した数直線を書いてみる

まとめ

今回は「小数がなぜ難しく感じるのか」について解説しました。
小数という概念は小さすぎるので日常を例にしにくいです。さらに計算についても
何をやっているのかつかむのが難しくつまずいてしまう子も多いです。

日常を例にすることはさらなる混乱を招いてしまうかもしれないので
数直線上で小数がどこに位置するのかをつかむという方法が理解しやすいと思います。

また計算手順については暗記でよいと書きました。算数で暗記?と思うかもしれませんが
「何をしているのか」を正しくつかんだうえでは計算は暗記でよいと思っています。
算数についても暗記すべきところとそうでないところがあります。
それについてもどこかで記事にしようと思います。

小数というものはあまりにも小さく、計算が複雑で混乱しやすい単元です。
しかしこの小さい数というものは中学以降でも必要な概念です。
しっかりとつかめるようにサポートしていきましょう。


当ブログでは算数が苦手だったのになぜだか大学の数学科専攻になった私
お子さんが算数や数学でつまずかないためのヒントを紹介しています。
「どう教えたらいいか分からない」そんな保護者の方の助けになればと思います。
ぜひ他の記事も参考にしてください!

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