中学数学で登場する「マイナス」という概念。実は小学校の頃からその存在に
気づいていたお子さんも少なくありません。
今まで見ていた数直線の0より左側に広がるマイナスの世界は初めは難しくありません。
プラスの世界を裏返しただけなので足し算引き算は直感の通りです。
しかし掛け算はどうでしょうか?「マイナス×マイナス=プラス」と初めて習ったとき
突然プラスになるという考え方に混乱したのではないでしょうか。
中学生になったお子さんも「マイナス×マイナス=プラス」という考え方に
疑問を持っているのではないでしょうか?
今回は難しいことは抜きにして、この疑問に直感的な説明をしていきたいと思います。
当ブログでは
・うちの子算数苦手かも、、と悩む保護者の方
・自分も算数が苦手だったから、、と悩む保護者の方
そんな方向けに数学科卒の私が
「算数=苦手」を解消するために保護者ができること
を紹介しています。
本記事は以下について書いています。
-1 とは何なのか
まず-1とは何者なのでしょうか?
マイナス×マイナスを考える前に、まず-1が何かを考えていきます。
中学数学から登場したマイナスという世界ですが、どのように理解すればよいでしょうか。
数学的に厳密に説明すると、「-1とは”1と足し合わせて0になる数”のこと」です。
・-2とは”2と足し合わせて0になる数”
・-3.5とは”3.5と足し合わせて0になる数”
マイナスの世界はこのような定義から成ります。
定義はなんだか面倒なことをしていますが、
これを視覚的に分かりやすく数直線で見てみましょう。

小学校で習う数直線は原点0から右側に広がっています。
1、2、3、、、と数が大きくなっていくとどんどん右側に進んでいきます。

これに対して負の数の位置を定義に沿って考えてみましょう。
-1について考えてみると、1と足し合わせて0になるならば
原点0を挟んで左側に位置しているのが自然ではないでしょうか。そしてその位置は
0から1までの距離と同距離のほうが視覚的にしっくりきます。
数直線に対して疑問を持つことは無かったと思いますが、
数直線は負の数の定義に合わせて視覚的に分かりやすく作られていることが分かります。
〇-1とは”1と足し合わせて0になる数”
〇数直線は負の数の定義をしっかりと守っている
足し算を数直線上で見てみる
負の数が登場する足し算を数直線上で捉えるとどうなるでしょうか。
ここでポイントとなるのは、数を“向きと大きさを持った矢印”で考えてみることです。
(向きと大きさを持つというものは数学の世界ではベクトルと言います。)

2や5、-2、-5などの数を矢印で捉えます。それぞれは向きと大きさが違います。
向きがプラスとマイナスを表し、大きさがその数の大きさ(絶対値としての大きさ)を表します。
ここで、足し算を”矢印の終点と視点を繋げる”という形で捉えてみましょう。

\({2} + {(-5)}\) を視覚的に考えると上のようになります。
2の矢印の終点と-5の矢印の始点をくっつけるようにすると、-5の矢印の終点は-3を指します。
矢印の始点と終点を繋げるという捉え方で足し算を考えることができます。
〇数を”向きと大きさを持った矢印”で考えてみる
〇矢印を繋げるという考え方で足し算は捉えられる。
掛け算を数直線で考えてみる
足し算が数直線上で”矢印の始点と終点を繋げる”という捉え方ができることが分かりました。
では次は掛け算を数直線上でどう捉えたらよいか考えてみましょう。
まず正の数同士の掛け算を考えてみます。
\({2} × {3} = {6}\) は「2が3個ある」と
考えることで、2という矢印を3個つなげるという捉え方ができます。
この捉え方に違和感はないでしょう。掛ける数の矢印を掛けられる数の分だけ繋げる
この考え方でいけそうです。

では次に、負の数が現れる掛け算を見てみましょう。
\({-3} × {2} = {-6}\) を考えてみます。これも「-3が2個ある」と考えることで
やはりこれも-3という矢印を2個つなげるという捉え方ができそうです。

掛けられる数が正なら掛ける数の矢印を掛けられる数の分だけ繋げる
という考え方がまだ使えます。
では掛けられる数がマイナスの場合はどのようにとらえればよいでしょうか。
\({2} × {-3}\) を見ていきます。ここで重要なのは
「掛け算は順番を変えても答えが同じ」というルールは破綻させないということです。
\({2} × {-3} = {-3} × {2} = {-6}\)である ということになり、これを数直線で考えます。

「2が-3個ある」という状況をどのよう捉えましょうか?上の数直線をどのように
説明するかにもよりますが2という矢印の向きを反転させて3個つなげるという見方ができます。
ここにポイントがあります。
マイナスをかける場合は矢印の向きを反転させる必要があるということです。
何故そんな必要があるのか?これは数学のルールを乱さないためです。
掛け算というものをマイナスの世界まで広げた時に
矛盾を生まないためにルールを追加したということです。
掛け算というものを数直線上の矢印で捉えた場合
マイナスの世界を含めると以下のように表現することができます。
① \({a} × {b}\) については、aに相当する矢印をb個つなげる
②bがマイナスの場合は、aに相当する矢印を反転させて|b|個(|b|は絶対値)つなげる
〇掛け算は”掛ける数の矢印を掛けられる数の分だけ繋げる”ととらえられる
〇負の数を掛けるときは矢印を反転させる必要がある
マイナス×マイナス=プラスの理由
掛け算をマイナスの世界まで考えようとしたときに、数学上に矛盾を生まないようにしようとすると
「マイナスを掛けるときはかけられる数を反転させる」というルールが必要だった
ということが分かりました。
ではここで初めの疑問に立ち返って「マイナス×マイナス」を考えてみましょう。
\({-1} × {-1}\) を数直線上で考えるとこのようになります。

-1に対して-1を掛けるので「-1を反転させて1個つなげる」ことになります。
そのため答えは \({-1} × {-1} = {1}\) となります。
数学の世界に矛盾を生まないように掛け算を考えたことでマイナス×マイナス=プラス
というルールになりました。ではこれはおかしなことなのでしょうか?
どうやらそうでもないようです。

関数 \({y} = {x}\) のグラフと、関数 \({y} = {-x}\) のグラフを考えてみましょう。
\({y} = {x}\) のグラフは右上がりの直線で角度は45°です。
一方で\({y} = {-x}\) のグラフについて、x>0の範囲では右下がりで角度は45°です。
さて、\({y} = {-x}\) のグラフのx≦0の範囲を考えたときどのような形になると考えられますか?
上の図の点線で書きましたが、y軸の正の方向に延びていくのが自然ではないでしょうか。
これはつまり、「xがマイナスの時、-xがプラスになる」ということを指しています。
\({-x} = {(-1)} × {x}\) とみなすことでマイナス×マイナス=プラスが自然に感じられます。
〇矛盾なく考えるならマイナス×マイナスはプラス
〇マイナス×マイナス=プラスは意外と自然
まとめ
今回は「マイナス×マイナス=プラスとなる理由」について解説しました。
足し算や引き算の世界でマイナスのことを考えることは難しくないと思います。
しかし、掛け算を考え出すと突然理解しにくくなります。
なんで「マイナスとマイナスを掛けるとプラスになるの?」こんな疑問が出てくるのも当たり前です。
数学としては、矛盾なく掛け算をマイナスの世界まで広げようとしたときに
マイナス×マイナス=プラスというルールになったということになります。
お子さんが数学に対して思う「なぜ?」は数学が得意になるためにとても大事です。
しかし実は、中学数学や高校数学の厳密な説明には大学数学必要になるという構造になっています。
「なぜ?」に対して「そういうもの!」と切り捨てることなく、
それでも難しすぎる説明抜きにして理解できるような説明ができたらと思います。
当ブログでは算数が苦手だったのになぜだか大学の数学科専攻になった私が
お子さんが算数や数学でつまずかないためのヒントを紹介しています。
「どう教えたらいいか分からない」そんな保護者の方の助けになればと思います。
ぜひ他の記事も参考にしてください!
