無限に続く0.999…..これは1に等しいでしょうか?
お子さんからそんな質問を受けたことはありませんか。
0.からはじまるならどんなに9を続けても1にはならなそうですよね。
実は「\({0.999…} = {1}\)」は見方によっては正しくなります。
今回は \({0.999…} = {1}\)が正しい式なのか、お子さんから聞かれたら困ってしまうようなこの質問に対して
専門的な知識は抜きにしてなんとなく理解できるように解説していきます。
当ブログでは
・うちの子算数苦手かも、、と悩む保護者の方
・自分も算数が苦手だったから、、と悩む保護者の方
そんな方向けに数学科卒の私が
「算数=苦手」を解消するために保護者ができること
を紹介しています。
本記事は以下について書いています。
\({0.999…} = {1}\)は正しいのか?
これは見方によっては正しいです。しかし誤解してしまいそうなので
\({0.999…} = {1}\)という書き方あまりしないほうが良いです。
実際以下の式も見方によっては正しくなります。
・ \({3} × {0.999….} = {3}\)
・ \({0.999…} + {0.999…} = {2}\)
こう見ると「0.999…という数は1と等しいのか!」と思いますよね。
でもこの捉え方は少し間違っています。
重要なのはこの式の捉え方です。式の形に対して式の捉え方が少し複雑です。
この式は高校数学で扱う「極限」という単元で出てくる考え方です。
見方によっては「\({0.999…} = {1}\)」は正しいのに0.999…という数は1に等しくないの?
少し混乱してしまうかもしれません。順を追って説明していきます。
〇\({0.999…} = {1}\) は見方によっては正しい
〇「0.999…という数が1と等しい」ということではない
0.999…とは何者か
理解が難しいのは\({0.999…}\)というものがどのようなものであるかです。
\({0.999…}\)は小数点以下に9が無限に続いていくものです。
ここで注意してほしいのは\({0.999…}\)とは特定の”数”ではないということです。
どういうことか?順を追って説明します。まずは0.999…を分数で考えてみます。
\({0.999…} = \frac{9}{10} + \frac{9}{100} + \frac{9}{1000} + ・・・\)
分数で考えると \(\frac{9}{10}\) から始まり分母を \(\frac{1}{10}\) したものを順に足していきます。
これを数直線上で見てみましょう。

今見えている青い線は \({0.999}\) までを表しています。
まずは \({0.9}\) から始まり\({0.9}\) と \({1.0}\) の間を10等分して\({0.09}\) を繋げます。
さらに\({0.99}\) と \({1.0}\)の間についても10等分して \({0.009}\) を繋げます。
というように\({1.0}\)までの残りを10等分して9個分進み、また残りを10等分し、、を繰り返します。
ここでポイントは、この\({0.999…}\)は特定の数として定まるときは来るでしょうか?
上の図で考えてみると\({0.999…}\)は特定の数として定まることは無いということが分かると思います。
「\({0.999…}\)というものは数として定まらないまま少しづつ増え続けているものである」
\({0.999…}\)が表すものが何となく見えてきたでしょうか。
〇0.999…は特定の数ではない
〇0.999…は数として定まらないまま少しづつ増え続けるもの
少し厳密な話:極限
難しいことは抜きにして、とは言ったものの数学的に誤解があっても嫌なので
少し厳密な話をしたいと思います。実は今まで考えてきたことは
高校数学の極限という単元の内容でした。小学生でも考えられそうなことを高校で詳しく扱っています。
「 \({0.999…} = {1}\) という式が見方によっては正しい」と言ってきましたが
厳密には以下の表記をしたときに数学的に正しい式となります。
\(\lim_{n\to \infty} (\sum_{i=1}^n \frac{9}{10^i}) = {1}\)
数学が苦手な人はアレルギーを起こしそうな式ですね。これが極限という単元での書き方です。
ひとつづつ説明します。
① \(\sum_{i=1}^n \frac{9}{10^i}\) まずはこれについてです。
これは\(\frac{9}{10} + \frac{9}{10^2} + \frac{9}{10^3} +…\)のことを表しています。
この\({10}\)の右上についている数字が\({n}\)になるまで足していくのが\(\sum_{i=1}^n \frac{9}{10^i}\)です。
具体的に\({n} = {4}\) の時、つまり\(\sum_{i=1}^4 \frac{9}{10^i}\)は以下を表しています。
\(\sum_{i=1}^4 \frac{9}{10^i} = \frac{9}{10} + \frac{9}{10^2} + \frac{9}{10^3} + \frac{9}{10^4}\)
\({n}\) が大きくなっていくと足し合わせる分数がどんどん増えていきます。
さらに足し合わせる数はどんどん小さくなっていきます。先ほど数直線で\({0.999…}\)が
どのようなものか見ていましたが、それと似たことをしていることがわかるでしょうか。
② \(\lim_{n\to \infty}\) 次はこれについてです。
これは上の分数の足し合わせをどんどん増やしていくことを表しています。
先ほどの分数の足し合わせは \({n}\)まで足していくものでした。
\(\lim_{n\to \infty}\)これをつけることで\({n}\)を無限に大きくしていくという操作が加わります。
そして「\({n}\)を無限に大きくしていったらどんな数に近づくか」という意味になります。
難しいですが、まとめると\(\lim_{n\to \infty} (\sum_{i=1}^n \frac{9}{10^i})\)とは
\(\frac{9}{10} + \frac{9}{10^2} + \frac{9}{10^3} +…\)と足していくのを無限に行った場合に近づき続ける値を表しています。
「近づき続ける」という表現が大事です。分数を足し続けても\({1}\)にはなりません。
あくまで「\({1}\)に近づき続ける」だけです。
ここで注意なのが\(\lim_{n\to \infty}\)がついていても必ず何らかの値に近づくとは限らないです。
・\({1}\)から数を足し続ける場合はそれはただ単に増え続けるだけですし、
・\({1} +{(-1)} + {1} + {(-1)} +… \)と無限にしていっても何の数にもたどり着きません。
あくまで \(\lim_{n\to \infty}\) は\({n}\)をどんどん大きくしていった場合にどうなるかを表しています。
〇\({0.999…}\)は高校数学の極限という単元の内容
〇無限に大きくしていったら何に「近づく」?という考え方
\({0.999…}\) と\(\lim_{n\to \infty} (\sum_{i=1}^n \frac{9}{10^i})\)の違い
\({0.999…}\)は確かに定まることなく少しづつ少しづつ1に近づいていくものです。
先ほど述べた\(\lim_{n\to \infty} (\sum_{i=1}^n \frac{9}{10^i})\)の考え方も似たようなものです。
しかしこれらには違いがあります。
・\({0.999…}\)は1に向かって少しづつ増え続けるだけ
・\(\lim_{n\to \infty} (\sum_{i=1}^n \frac{9}{10^i})\)は少しづつ増え続けた結果近づき続ける値を表す
ここに違いがあります。これはもはや哲学的ですが、数学では「無限」というものを扱うとき
「どんなに頑張ってもたどり着かないけど近づき続ける」という現象に出くわします。
これに対応するために\(\lim\)という表記が使われるようになりました。
\({0.999…}\)というものが\(\lim_{n\to \infty} (\sum_{i=1}^n \frac{9}{10^i})\)に等しいという見方もできなくは無いので
\({0.999…} = {1}\)という式が正しいということも言えなくもないです。
しかし「増え続づけるけどたどり着かないという事実」と「近づき続けた結果」は別物として扱うほうが数学としては正しいです。
〇\({0.999…}\) は1に向かって増え続けるもの
〇\(\lim_{n\to \infty} (\sum_{i=1}^n \frac{9}{10^i})\)は少しづつ増え続けた結果近づき続ける値を表す
まとめ
今回は「\({0.999…} = {1}\) は正しいのか?」について解説しました。
小学生でも考えられそうなこの\({0.999…}\)というもの。これが\({1}\)と等しいのか?
という疑問は小学生でも考えてしまうと思います。
数学的には\({0.999…} = {1}\)という式は見方によっては正しいとも言えなくもないですが
厳密には正しくないということを説明してきました。またこの疑問には「無限」という
高校数学、さらには大学数学の考え方が必要です。
数学の世界では小学生でもわかるような疑問を解くのに
高校数学や大学数学が必要になることがあります。
簡単そうな疑問なのに大人でもうまく答えられないそんなことが起きてしまいます。
お子さんの疑問に対して少しでも分かりやすい説明ができたらと思います。
当ブログでは算数が苦手だったのになぜだか大学の数学科専攻になった私が
お子さんが算数や数学でつまずかないためのヒントを紹介しています。
「どう教えたらいいか分からない」そんな保護者の方の助けになればと思います。
ぜひ他の記事も参考にしてください!


